タバコの害について
タバコの煙には、4,000種類の化学物が含まれます。その中に200種類以上の有害物質と50種類以上の発がん性物質が含まれます。
タバコはがんの他にも、脳卒中や心筋梗塞、動脈硬化、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、胃潰瘍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息など、全身のリスクを高めることがわかっています。
病気のリスクだけでなく、妊娠・出産への悪影響へも関連すると言われています。
禁煙外来とは
タバコは、ニコチンの作用による脳や体への快感だけでなく、ホッとする、すっきりするといった気持ちの上での依存が重なっているため自分一人ではなかなか達成できません。当院のサポートを受けながら、禁煙を続けてみませんか。
禁煙外来では、医師があなたの喫煙歴をきちんと把握した上で、治療の経過を見守ります。禁煙中の症状(離脱症状)が起こっても、相談できますのでうまく続けていくことができます。
条件を満たせば、健康保険等を使って禁煙治療もできます。
禁煙治療を健康保険等で受けるためには
- ニコチン依存症の判定テストが5点以上
- 1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数=200以上
(2016年4月より35歳未満にはこの要件はなくなりました) - すぐに喫煙をしたいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意、説明内容に納得されたときは文章で同意すること
ニコチン依存性を診断するテスト(TDS)
はい:1点 / いいえ:0点
5点以上は「ニコチン依存症※」です。(最終的なニコチン依存症の判断は、医師が行います)
- ① 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くのタバコを吸ってしまうことがありましたか。
- ② 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
- ③ 禁煙したり本数を減らそうとした時に、タバコが欲しくてたまらなくなることがありましたか。
- ④ 禁煙したり本数を減らそうとした時に、次のどれかがありましたか。
・イライラ ・神経質 ・落ち着きがない ・集中しにくい ・憂鬱 ・頭痛 ・眠気 ・胃のむかつき ・脈が遅い ・手の震え ・食欲または体重の増加 - ⑤ ④でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
- ⑥ 重い病気にかかった時に、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
- ⑦ タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましか。
- ⑧ タバコのために自分に精神的問題[注]が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
- ⑨ 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
- ⑩ タバコが吸えないような仕事やつき合いを避けることが何度かありましたか。
[注] 禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現したりしている状態。
※ニコチン依存症:やめたくてもやめられない喫煙習慣のことを言い、治療を要する病気と考えられています。
禁煙治療のスケジュール
標準的な禁煙治療のスケジュールは、12週間にわたり計5回の禁煙治療を行います。まず、初回の診察で患者さんと話し合い禁煙開始日を決定します。
初回の診察から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後に診察や、呼気一酸化炭素濃度の測定、禁煙継続に向けてのアドバイス、禁煙補助薬の処方などの治療を行います。
禁煙のためのお薬
禁煙補助薬には、ニコチンを含まない内服薬・ニコチンパッチ・ニコチンガムの3種類があります。医師が処方し、健康保険等が使えるのはニコチンを含まない内服薬と、医療用のニコチンパッチとなります。
- 内服薬
- 少量のドーパミンを放出させて、イライラなどのニコチン切れの離脱症状を軽減します。また、タバコを吸っても「おいしい」と感じにくくなります。
副作用として、吐き気や便秘、不眠などの症状が報告されています。
1日2回、食後に服用します。最初の1週間はタバコを吸いながら服用し、8日目に禁煙を開始します。12週間、服用します。 - ニコチンパッチとニコチンガム
- ニコチンパッチは、ニコチンを含んだ貼り薬になります。人に気づかれずに治療することができます。1日1回、上腕やお腹、背中などに貼ります。
医師が処方し、健康保険等で使えるものと、薬局で購入することができるものがあります。 - ニコチンガムは、ガムに含まれたニコチンを粘膜から吸収させます。タバコを吸いたくなったら使用し(1回の使用量は必ず1個)、徐々に減らしていきます。
口寂しさを補うことができます。
禁煙のメリット
- 家族や周囲の人が受動喫煙を受けるリスクがなくなる
- 味覚や嗅覚が鋭敏になり、食べ物をおいしく感じるようになる
- 目覚めが爽やかになる
- 肌の調子が良くなる
- 呼吸器の症状が改善する
- 狭心症、心筋梗塞など心臓の病気のリスクが、喫煙者に比べて著しく低下する
- 禁煙10年経過でがんのリスクが低下する。
禁煙に悩んでいる方は一度、ご相談ください。